ÇHOMEブログコンパッショネート・ユースにより多様な医薬品で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応を

コンパッショネート・ユースにより多様な医薬品で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応を

医薬品の治験と近くて遠い概念として、「コンパッショネート・ユース(以下CU)」というものがあります。日本語では「人道的使用」と訳されます。CUとは、基本的に命を脅かす疾患などに罹患し、通常の治験を経た上市による販売を待てない患者に対し、代替療法がない等の限定的状況において、有効性・安全性の期待される有望な新薬(国内未承認薬)への公的なアクセスを可能とする制度です。公の制度(根拠となる法律が存在する),未承認薬を治療目的に使用,倫理的・人道的な見地から一定のルールのもとで例外的に使用,重篤または命を脅かす疾患の患者が対象,臨床試験に参加できない患者が対象,既承認の代替薬がない患者が対象CUのもつ性格から公の制度と関係するが患者の自己負担に一定の配慮がされるといったことが要件とされます。また、CUでは,患者の未承認薬へのアクセスが,その後の安全性・有効性を確認し販売承認するのに必要な臨床試験の実施を妨げない配慮が必要となります。

(以上、医薬品のコンパッショネート使用制度(CU)―なにがCUか・なにがCUではないのか―Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)vol. 40 no. 10 2012から引用)

私、吉田つねひこは、早くからこのCUを我が国にも導入すべきであるとして、民主党政権時代の2011年3月2日衆議院内閣委員会において、私の専門とする眼科領域の網膜疾患、特に加齢黄斑変性や網膜分枝静脈閉塞症、糖尿病性黄斑浮腫などの網膜疾患に対して以前から、大腸がんに対して使われる血管内皮成長因子(VEGF)に対する分子標的剤がずっと日欧米全てで適応外使用をされており、非常に大きな効果を上げている事と且つ同等の効果を有する薬剤に比べて極めて安価である事を例にとり、ベバシズマブ(アバスチン)もケース・バイ・ケースで使用することが出来るようにするべきという質疑を行い、同時にCU導入のための検討状況をただしました。<同時に、この数百億円の医療費削減にも寄与し、安全かつ有効なベバシズマブ(アバスチン)の使用は公知申請(海外では認められているが日本では未承認のため使用できない医薬品について、有効性や安全性などに関して、評価が高く信頼できる数多くの論文などにより科学的根拠が十分と認められた場合には医学薬学上「公知」であるとされ、臨床試験の一部あるいは全部を行わなくとも承認が可能となる制度)による使用も目指しました。この公知申請も極めて有用な薬事承認方法ですが、日本では商業的及び政治的な理由で、中々活用されません。>

このような質疑を踏まえた検討の末、平成26年6月24日の閣議決定で、主たる治験に組み入れられない患者について、安全性の観点から許容される範囲まで拡大する拡大治験(日本版コンパッショネートユース 以下日本版CU)が導入され、更に治験や拡大治験、先進医療等でも対象とならない場合の措置として患者申出療養制度が創設されました。その他にも、先進医療を含む評価療養及び選定療養などの保険外併用療養費制度が充実するなど、この分野で一定の進展はあったといえるかもしれません。また規制改革会議の提案であるため、政治的な意図があったり、飛躍しすぎる危険性は大いにありますが、選択療養制度(仮称)などの議論も始まっています。

しかし、これで十分とは言えません。日本版CUは確かに臨床試験を妨げないことにより将来この医薬品を必要とする患者へも配慮したものであり、同時に患者の安全確保によく配慮された制度という評価はできます。しかし、日本版CUは治験を拡大したものにすぎず(主たる治験に組み入れられない患者について、安全性の観点から許容される範囲まで拡大した治験)、したがって新たにCUそのものを法律で規定したものではないこと、更には本来患者アクセスを主目的とするCUと申請に必要なデータを集める治験とは根本的に性格が異なるものであるからです。また、実績も日本版CUが今年の3月末で24件(うち進行中のものが7件)あるものの、患者申出療養は8件とまだまだ少なく、一縷の望みをかける患者にとって使い勝手が悪い制度なのは明らかです。

私、吉田つねひこは、現在の日本版CU、患者申出療養制度ではまだまだ不十分であり、欧米並みの患者視点、現場の医師視点が圧倒的に足らないと考えます。

今般のコロナウイルス感染症への対応でも、米Gilead Sciences社が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に開発を進めている抗ウイルス薬のレムデシビルについて、特例承認を適用して、2020年5月にも日本で承認されるとの報道が相次ぎ、安倍総理も4月28日の衆院予算委員会でそれを認めました。レムデシビルは、2020年1月下旬、2019-nCoV(SARS-CoV-2)に感染していることが確認された最初の米国の患者に、未承認薬のCUとして投与されており、肺炎に進行した後での投与だったが、患者の状態は翌日劇的に改善し、最終的に退院したとされています。(ただし、この急速な回復が薬物の効果によるものであるかどうかを明確に証明することはできません。)

我が国での日本版CUではこのような迅速な対応は現状では困難であり、現下の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応で様々な医薬品の可能性を探る中で、日本版CUについても患者の未承認薬へのアクセスに重点を置いた制度へさらに発展させるべきです。

今こそコンパッショネート・ユースを拡大し、可能性のある医薬品に適用して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応すべきと考えます。

私は、衆議院議員として、また医師として、国民の皆様が安心・安全に暮らすことができる社会を構築するため、これからも、政府に訴えていきます。皆様のお声をお寄せください。

衆議院議員 吉田つねひこ 拝

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