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【国会】厚生労働委員会 一般質疑 6月5日

私吉田つねひこは、6月5日厚生労働委員会で一般質疑を行いました。その詳細は下記のとおりです

 

○冨岡委員長 次に、吉田統彦君。

○吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。二十分と時間が短いので、大臣、早速いろいろディスカッションしてまいりたいと思います。

まず、遺伝的なエビデンスが確立している疾患等に対する予防的な臓器切除についてお伺いします。

時代の流れもありまして、本件のような臓器の予防的切除の議論は今後絶対避けて通れない、そのように私は考えています。乳がん及び卵巣がんの五%から一〇%というのは、遺伝性乳がん卵巣がん症候群、以下、HBOCと略称させていただきますが、と呼ばれるBRCA1、2遺伝子における変異に起因するものが考えられています。HBOCは、このBRCA1又はBRCA2遺伝子の生殖細胞系列変異が原因で、若い年齢、しばしば五十歳以前で乳がんを発症する。常染色体優性遺伝なんですよ、大臣。トリプルネガティブ、エストロゲン、プロゲステロン、HER2受容体陰性の乳がんを発症しやすく、また卵巣がんにおいても、より予後の悪いとされる漿液性のがんが多くを占めます。腹膜がんを発症することもあります。さらに、リスクとしては、大臣、乳がんは四〇%から八五%に発症する、先ほど述べたように若年発症の傾向がある。大臣、ここはよくお話を聞いて御答弁いただきたいと思います。対側の原発性乳がん、逆側の発症のリスクは四〇から六〇%。また、同じ側の新たな乳がんのリスクも増加します。加えて、大臣、ここもちょっとポイントなんですけれども、男性乳がんのリスクも増加するんです。男性の乳がんは予後が悪いですからね。男性では、前立腺がんも五倍から七倍のオッズ比でリスクが上がりますし、膵臓がんも約三倍と増加します。一般集団と比較して、この変異というのは、乳がんを発症するリスクは六から十二倍、卵巣がんを発症するリスクは八から六十倍というデータも多々あるわけであります。男性のリスクも含めて、根本大臣は、本症候群のことを御存じでしょうか。よく御存じか、そうでないか、ちょっとまずお答えいただけますか。

○根本国務大臣 よく御存じかどうかというところでは、よくかどうかは別として、まあ、この話は私も知っております。

○吉田委員 ありがとうございました。しっかり、いろいろ、多分、資料とか目を通してくださったということですね。まずは、私が大臣にお伺いしたいのは、このHBOCを契機として、本症候群だけでなく、エビデンスが確立した他の臓器も含めた予防切除の保険収載等の検討を議論の俎上にのせるべきだと考えますが、その点は厚生労働大臣としていかがお考えになるでしょうか。これは、本症候群ではなくて、一般論として、エビデンスの確立した他の臓器も含めた予防切除の保険収載等という意味です。

○根本国務大臣 治療を必要としている方に医療技術の進歩を適切に取り入れてお届けする、これは大変重要だと思います。今お話のあった新規の検査や医療技術の保険適用、これについては、治療と疾病の関係が明らかで、治療の有効性や安全性などが確立しているものについて、普及性や社会的妥当性なども考慮して中医協において議論した上で判断しております。御指摘の、遺伝子変異を有して、乳がんや卵巣がんになりやすい方に対する予防的手術への保険適用については、がんの原因となる疾病に対する治療と位置づけられるかという課題や、あるいは、他の方法で早期発見の可能性があるかどうかという論点などがあります。これは、今、委員もお話がありましたがエビデンスを確認しながら、関係者の意見を聞きながら、慎重に検討を続ける必要があると思います。一方で、がんを発症された方の生存率を改善させる治療のあり方という観点からは、同じ遺伝子に起因する他の部位に対する治療を医療保険においてどのように取り扱うかという点については、学会等の要望に応じて、疾病と療養の関連性やエビデンスの状況などを踏まえて、中医協において検討していきたいと思っております。

○吉田委員 大臣、私が聞きたかったのは一般論で、私が繰り返し述べたように、一般論としての部分がまず大事なんですよ。やはり、その議論をしていく前提で、一部、さっきもう、先の私の問いに対しても答えをいただいてしまいましたが、一般論として、厚生労働省の考え方として、エビデンスが確立して、患者の生命と健康を守るために有益だと考えるものに関しては、中医協等の議論を経て、もちろん学会等の意見を取り入れて、例外なくちゃんと検討を、厚生労働省として、一般論としてですよ、全ての悪性腫瘍と言ってもいい、そういったもの、遺伝的エビデンスのあるものに対してはそうするということですね、大臣。そうか、そうでないかだけ、一言だけください。

○根本国務大臣 私、先ほど、新規の検査や医療技術の保険適用、そうですということであります。もう申し上げましたよね。

○吉田委員 大臣、先ほどちょっと先の問いに対しても答えをいただいたんですが、それは結構なんです。つまり、まず、大臣、例えば日本乳癌学会のホームページなどによると、入院十四日間で乳房の切除術、腋窩リンパ節郭清などの手術をすると総額は大体百万円ぐらいです。実際は三割負担の三十万ですね。抗がん剤治療の代表というと、例えばFEC療法、三週ごとに六回、身長百六十センチ、体重五十キログラムぐらいの場合は約五十三万で、三割負担の場合だと約十六万ぐらい、こういった形です。化学療法は抗がん剤をいろいろ組み合わせることもありますので、実際の費用はもっと上がることもあるわけであります。がんに罹患してからの治療というのは、手術に加えて抗がん剤治療をする必要があったり、また手術不能で抗がん剤治療だけを続けていくなど、やはり経済的な負担はいろいろ、大臣、あるわけであります。乳がんというのは、比較的今の技術、委員長も外科医でいらっしゃいますけれども、予後はよくなりましたね。ただ、しかしながら、やはりステージⅣだと五年生存率は三七・八%ぐらいですね、五年生存率、ステージⅣの場合。やはり、発見がおくれると高い死亡率となるのは間違いない。また、がんの手術自体も、大臣、腫瘍というのは増殖性の変化をしていくわけですよ。そうすると、未熟な血管ができてくる。いわゆる癒着を含めて、他の臓器へ進展していくときに、がんというのは未熟な血管をどんどんつくって、そういうものが豊富になると、当然、切除のリスクは高くなるんです、大臣。外科的手術というのは、出血を制御しないと患者さんは死んでしまいますので、出血を制御することが課題の一つです、外科手術は全て。つまり、がんになってからの手術というのは、それだけやはり難しくどんどんなっていくわけですよ。それは、がんが進展していけばしていくほどそうである。それに比べて、予防的切除の場合は、血管の処理とかそういうリスクも当然、比較的低くなります。外科的手法に関しても、不測の事態も起こりにくいということがまずあります。手術時間も短い。当然、本人への負担も軽く済みますね。こういった、外科的手術、似たような手術をするにせよ、安全性が高い手術が提供できる可能性がある。また、がん治療の場合は、大臣、大事なことですが、根治術が成功すれば社会復帰をすることも可能ですよね。しかし、根治が可能で、先ほど乳がんの例でお示ししたとおり、抗がん剤の治療が続くとすると、経済的負担も当然重いんですが、なかなか社会復帰できないということが起こってくると、社会的な利益の喪失、家族の負担といったさまざまな不利益をこうむってくる、そういったこともあります。大臣も調べられたかもしれませんけれども、アメリカのアンジェリーナ・ジョリーという女優さんが、二〇一三年の五月にニューヨーク・タイムズに寄稿しています。乳がん予防のための両乳腺を切除する手術を受けたとおっしゃっています。これは、乳がんになる可能性が八七%と診断された、アンジェリーナ・ジョリーさんのお母上も卵巣がんで五十六歳で亡くなっていたので決断をしたと。まず、卵巣がんというのは、大臣、非常に静かに進展していくがんでもありまして、卵巣そのものも、挙児、子供を生むことを希望しなくなってからは、子宮とともに人体における必要性というのは相対的に低下をしていきます。その反面で、悪性腫瘍が発生した場合は大きなリスクと負担を負う臓器であるとも言うことができ、そういった意味でも、予防切除の必要性は大きいと考えられるわけであります。さっき申し上げたように、根治できずに抗がん剤の治療を続けると、社会的コストの問題、家族の負担の問題の重大さに加えて、やはり、こういった医療経済的な問題からも予防的切除というのは考慮していかなければいけないと思います。だから、まさに我が国もそういった時代に来たんだと思います。もう一度、重なった答弁はなるべく少なくしていただきたいですが、医学や科学技術の進歩は、それまで不可能だった予見、予防を可能にしましたね、大臣。それに対して、例えば保険給付や国民の哲学、倫理が必ずしも追いついていないかもしれないわけであります。しかしながら、国民のためには、病気になる前、病気が重くなる前に対応することが、医療費の低減もさることながら、国民の幸せ、幸福のために必要なのではないかと考えます。そして、それに制度を対応していく、そういったことが政治や行政の役割ではないかと、大臣、考えるわけであります。今、ゲノム、ジェノムの時代になりましたね。全ゲノムの時代に突入しました。そういった今こそ、いつか誰かが決断しなくてはならない、そういったことなんだと思います。まずは、もう一度、大臣、一部重なる答弁をいただくかもしれませんが、本症候群、HBOCに対する予防切除の保険給付、さらには国民への普及啓発の決断、こういったものを大臣の御決意として御答弁をいただけませんでしょうか。

○根本国務大臣 御指摘のHBOC、遺伝子変異を有して乳がんや卵巣がんになりやすい方に対する予防的手術、つまり切除したらどうか、こういうことで、保険適用したらどうかというお話だと思います。これについては、先ほど申し上げたことと重なりますが、がんの原因となる疾病に対する治療と位置づけられるかという課題や、あるいは他の方法で早期発見の可能性があるかどうかという論点などがありますので、これはエビデンスが大事だと思いますが、エビデンスを確認しながら、関係者の意見を聞きながら、慎重に検討を続ける必要があると思います。また、じゃ、ここは……(吉田委員「ぜひ、どうぞ御答弁ください」と呼ぶ)はい。一方で、がんを発症された方の生存率を改善させる治療のあり方という観点から、同じ遺伝子に起因する他の部位に対する治療を医療保険においてどのように取り扱うかという点については、学会などの要望に応じて、疾病と療養の関連性やエビデンスの状況などを踏まえて、中医協において検討していきたいと思います。

○吉田委員 大臣、ありがとうございます。私の知る限り、大臣が臓器の予防切除、保険給付、その前提となる中医協での検討について国会の場で御答弁いただいたのは初めてではないかと思います。しっかりとした御答弁をいただきましたので、大臣、ぜひ具体的に進めていただきたいと思いますし、先ほど来、そのハードルとなる点も御答弁いただきましたね。こういったものはやはり与野党超えてぜひ一緒に取り組んでまいりたい、大臣、私もそのように思います。大臣、もう一度ちょっと聞かせていただきたいんですけれども、中医協の議論を非常に大事になさるということと、学会からの提言、要望が非常に重要である、そういったところを御説明いただいたんですが、その両方がしっかりとした議論がなされた場合というのは、念のための確認ですが、厚生労働省としては、その要望、中医協での非常に前向きな議論がなされた場合に関しては、保険適用をしっかり考えて速やかにしていくということでよろしいんですね。

○根本国務大臣 一般論としては私が先ほど申し上げましたとおりでありますが、今回の要はHBOC、予防的臓器切除についての知見、これは現時点では十分に集まっていないと認識しておりまして、まずはHBOCについて研究に取り組んでいるところであります。ここはやはり、御指摘のHBOCということでいえば、更に研究を進めて、HBOCに関する予防的臓器切除の有用性などを検討していくことが必要だと認識をしております。

○吉田委員 大臣、そうすると、そこはちょっと大事なところなんですけれども、まだ今の学会等や国際的な論文等、私も相当、この質問のために読ませていただきましたが、これでは足りない、そういうことですか。ちょっとここは大事なところなので、ちゃんと答えてください。足りないのか、今のエビデンスは厚生労働省として十分だと考えているのか、これは大事なことですよ、お答えください。

○根本国務大臣 BRCA変異保持者で卵管卵巣がん未発症者に対する卵管卵巣の予防的切除の実施、これは、卵巣がんや卵管がん等を減少させるだけではなくて、予後の改善が海外の研究から示されておりますが、日本でのデータは今後蓄積が必要であると思います。また、BRCA変異保持者で乳がん未発症者に対する両側乳房予防切除手術は、乳がん発症リスクを確実に減少いたしますが、これまでに予後の改善効果は示されておりません等々の課題がありますので、ここは更に研究を進めて、HBOCに関する予防的臓器切除の有用性等を検討していくことが必要であると認識をしております。

○吉田委員 大臣、ちょっと今、大事な御答弁をいただいたんですけれども、それじゃ、日本人のデータがないとやらないということですか。日本人のデータを得るためには、これは自費でどんどんやらせるしかなくなってしまいますけれども、そこは大事なポイントですよ。広く海外で公知であっても、日本人のジャパニーズポピュレーションのデータがないとこれはだめということですか。そのポイントだけ答えてください。イエスかノーか。

○根本国務大臣 基本的には、日本人のデータが必要だと思いますし、日本でのデータは今後蓄積が必要だと思います。

○吉田委員 蓄積と簡単に言いますけれども、これは自費で蓄積しなきゃいけないんですよ、大臣。みんな自費でやらせなきゃいけなくなりますし、ちょっとジェネティクスの専門家を入れた方がいいですよ、厚生労働省。私も、ジェネティクス、原因疾患遺伝子を発見していますけれども、ちょっとその御答弁ではアカデミアからいろいろ言われちゃうと僕は思いますけれどもね。ちょっと答弁がしっかり、安定していなかったと思います。いや、結構です。もう次に行きます。

時間がないので、最後の問いです。予防切除だけじゃなくて、大臣、そこだけじゃなくて、ちょっと別のところも行きましょう。前述したように、根治できず抗がん剤での治療を続けるとすると社会復帰が困難になりますし、また、本人、家族の負担が増大しますね。本当に、医療経済的な意味や、何としても本人の命、健康を守るために、早期発見も含めて、予防的切除という一つの使い方だけではなくて、いわゆる早期発見のためのこのHBOCの遺伝子検査についてお伺いします。御説明は時間がないのでちょっと割愛しますが、お手元に御準備したこの日本HBOCコンソーシアムによるデータ等を見ても、先ほど来申し上げたように、男性を含めたリスクを鑑みても、このHBOCを引き起こすBRCA1、2遺伝子のミューテーションの遺伝子検査の必要性啓発、そして保険適用、保険収載、そういったもの、こちらも同様に、これは結構高いんですよね、自費だと。そこに関しての保険収載もやはり考えるべきときに来たのかなと思いますので、そこについて、最後、大臣と厚生労働省の御見解を伺います。

○樽見政府参考人 大臣からもいろいろ御答弁申し上げましたけれども、予防的臓器切除ということについての知見を更に集めて有効性というものを検討していくことがまず必要だというふうに考えております。保険適用、まさに疾病で有効性、安全性が確立して、治療ということで確立しているものについては保険適用ということなんですけれども、まさに遺伝子の異常があるということが病気というふうに言えるのかということ、それはその検査の方法という御指摘でございますけれども、ここはなかなか慎重な検討が必要なポイントだというふうに思っておりまして、まずは更に知見を集めるということだろうというふうに考えております。

○吉田委員 もう時間が来たので終わりますが、大臣、予防切除に関する保険収載と検査の保険収載というのはまた違う事象ですから、これはちゃんと言っておいたんですけれども、本当は全部大臣に御答弁と言っていたんですが、局長が手を挙げられたので答えていただきましたが、予防切除だけじゃなくて、その検査自体の有用性もやはりしっかりと着目をして、その必要性啓発、教育、さまざまなところで政府はよく御検討をいただければと思います。それを最後にお願いして、大臣、終わらせていただきます。委員長、ありがとうございました。皆様、ありがとうございました。

 

以上、厚生労働委員会での根本厚生労働大臣への一般質疑の報告でありました。

今回の質疑は、遺伝的なエビデンスが確立している疾患等に対する予防的な臓器切除について、私の知る限り、大臣が臓器の予防切除、保険給付、その前提となる中医協での検討について国会の場で初めて答弁いただいた、画期的な質疑であったと思います。

私は、国民の皆様が安心・安全に暮らすことができる社会を構築するため、これからも、政府に訴えていきます。皆様のお声をお寄せください。

 

 

 

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